ITGI Japan カンファレンス 2010 の見どころ
Quest for true value of Cloud Computing
~日米欧の先進企業に学ぶ、「クラウドから安全・確実に価値を生み出す実務的方策」~
クラウドコンピューティング
ITインフラの一形態として、クラウドコンピューティングをはじめとする様々なテクノロジーが進化し続けています。ITガバナンス協会では、まさにこうした変化の時代において、リスクへの対応を見極めつつも、確実に進化するITからビジネス・バリューを引き出していくために、ITガバナンスを実務的にどう実現していったらいいのかをテーマに日々研究を行っています。
今回のカンファレンスでは、特に、企業がグローバル展開を行っていく上で、日本、米国、欧州で実務的にどのような点に配慮してITガバナンスを構築すればいいのか、クラウドコンピューティングに関する留意点としては各地域でどう違うのか、といった点を探るため、日本ITガバナンス協会ならではのワールドワイドなネットワークを活用し、最適なスピーカを招聘することができました。
各スピーカには上記のような観点からの講演を要請していますので、11月の ITGI Japan カンファレンス 2010も、大いに期待したいところです。本ページでは、今後、スピーカとの打合せを行い、詳細が決定次第、各講演の内容を紹介して参りますので、ご期待下さい。
基調講演
【基調講演をして頂くオリンパス(株)の北村氏のプロフィール】
1959年 東京生まれ
1982年 オリンパス光学工業株式会社入社
情報機器(光ディスク装置)の開発業務 等に従事
1999年 オリンパス・シンガポール勤務
2001年 産業情報部 部長 (産業システムカンパニー)
2003年 IT戦略推進室 室長
2006年 IT改革推進部・IT基盤技術部 部長
(2006年7月 IT統括本部発足時)
2009年 IT統括本部 本部長 (現職)
【 講演概要 】
タイトル : グローバル化・クラウド化時代のITガバナンスを考える
100年に一度と呼ばれた“世界同時不況”を経て、企業のIT部門では様々な改革が求められています。特に新興国を意識した“グローバル化”や世間で話題の“クラウド化”など、新たな経営環境やIT環境の中で、「ITガバナンス」への取り組みも大きく変化して来ています。
今回は、オリンパスがIT改革の1つとして取り組んでいる「ITガンバナンスの強化」の事例をご紹介しながら、“グローバル化”や“クラウド化”時代の「ITガバナンス」のあり方について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
本講演の題目は下記の通りです。
・会社概要
・グローバル化
・クラウド化
・ITガバナンスの強化
・マネジメントとガバナンス
・これからのITガバナンスとは
・最後に・・・
情報セキュリティ調査結果報告
海外スピーカセッション1
Mr. Everett C. Johnson, CPA
ISACA & ITGI国際本部元会長
ISACA & ITGI 国際本部理事
【 プロフィール 】
同氏は、米国のデロイト&トゥーシュLLP の元パートナーであり、在任中は”エンタープライズ・リスクサービス”部門の地域担当役員及びコンピュータアシュアランス部門の米国並びにグローバルのリーダーを歴任してきた。
2002年から2005年にはISACA/ITGI国際本部副会長、2005年から2007年には同会長を務め、更に現在も理事として貢献している。ISACAの戦略助言評議会、ガバナンス助言評議会、 対外的影響力拡大委員会のメンバーであり, 各種の専門的なタスクフォースの議長も務めている。ITGI の活動としては、スティアリングコミッティ、監査委員会のメンバーを務めている。40年以上にわたる監査、コントロール、セキュリティ、ITガバナンスの専門家としてのキャリアを持ち、「米国における最も影響力のある100人の会計士」の一人として選ばれた経験もある。
また、AICPA(米国公認会計士協会)の Assurance Services Executive 委員会とITリサーチ委員会のメンバーであり、現在は同組織とカナダ勅許公認会計士協会との提携による”プライバシータスクフォース”の議長を務めている。
更に IFAC(International Federation of Accountants)の情報技術委員会の議長としても活躍している。
同氏は、米国アリゾナ大学から会計学修士号と電気科学学士号の学位を授与されている。
【 講演概要 】
タイトル : 内部統制システムとITのモニタリング - クラウドの世界におけるガバナンスへの挑戦
Monitoring of Internal Control Systems and IT-Governance Challenges in a Cloud Computing World
内部統制のモニタリングは、IT環境の主要なコントロールがITガバナンス責任の一部として効果的に機能していることを確実にさせる非常に有効な手段です。
本講演では、米国のCOSO (the Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)の中でIT内部環境への適用として紹介された内部統制のモニタリングの主要コンセプトをカバーします。
特に、モニタリングプロセスを導入する主要ステップとして、(1)モニタリングに活用できる有効情報の識別、(2)モニタリングに対する多様な戦略の導入及び(3)モニタリング活動の自動化に対する考慮事項について説明します。
更に、クラウドコンピューティング環境でのモニタリングへの考慮点を述べるとともに、ISACAの新しい出版物(『内部統制システムとITのモニタリング- どのようにべストプラクティスを受入れ且つ促進させるか? 役員、管理職、監査人のための入門書』)の概要について紹介します。
海外スピーカセッション2
Mr. Rolf von Roessing
【 プロフィール 】
ISACA国際本部副会長である同氏は、ドイツKPMGの前パートナーであり現在は同組織のエグゼクティブ・アドバイザーを務めている。本業のKPMGでの活躍に加え、長年にわたり国際的な大銀行、保険会社へのコンサルティングの経験を持っている。
その中では、国際的な規模のBCMや情報セキュリティプロジェクトの責任者として活躍してきた。コンサルティング部門に参加する前、同氏は、先端的なグローバル証券会社のIT部門で欧州・中近東地区の統括責任者を歴任している。
2001年から2008年にわたり、 Continuity nstitute (BCI)の理事を務め、2003年から2008年の間は、監査委員会の議長として貢献した。
2005年、同氏はISACAのセキュリティマネジメント委員会に参画し、ITGIの活動である”ITコントロール目標 for バーゼルⅡ”の策定・出版のワーキングチームの議長として活躍してきており、今はフレームワーク委員会のメンバーでもある。
同氏には、BCM、災害対策(Disaster Recovery)、危機管理の分野での多くの著作がある。
【 講演概要 】
タイトル : クラウドコンピューティングへの考察 - ヨーロッパからの観点
Prospect for Cloud Computing: A European perspective
クラウドコンピューティングの基本定義を述べたうえで、ヨーロッパでの主要な動向について産業界のみならず、EU当局の活動も紹介します。また、講演者の専門分野であるリスク・コントロールを中心にGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)の世界まで視点を拡大して現在の見解を披露します。予定されているトピックスは以下の通りです。
・ クラウドの世界-その定義
・ ヨーロッパにおけるクラウドのリスク
・ GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)に関する課題
・ EU(ヨーロッパ連合)の観点
・調査活動のアジェンダ
・GRCの側面からの提言
・行政監督機関の指導
・ 国別アプローチ(主要国)
・ 結論と展望
総括講演
【プロフィール】
淀川 高喜(よどかわ こうき)野村総合研究所 研究理事
1979年、野村総合研究所入社。5年間証券業務や資産運用業務のシステム開発に携わった後、コンサルタントに転身。
幅広い業種の企業での情報化とITを活用した業務改革の推進を支援。
システムコンサルティング事業本部にて10年間ほど部長職を務めた後、2008年4月より現職。情報処理技術者試験委員を10数年にわたり務めている。
日本ITガバナンス協会理事他。
著書 強い企業をつくるビジネスイノベーション(日経BP社2008年)、IT人材再生戦略(日経BP社2009年)、ValIT入門(共著、生産性出版2008年)最新CIOハンドブック(監修、日経BP社2009年)、ビジネスリーダーにITマネジメントができるか(訳+一部執筆、日経BP社2010年) 他。
最後に
本カンファレンスは、これからのITガバナンスを全体最適の視点から考察する上で、絶好の機会です。多くの方々の参加をお待ちしております。
日本ITガバナンス協会について
日本ITガバナンス協会、ITGI Japanは、ISACA/ITGI国際本部が所有するITガバナンス等に係る文献の日本語訳の無償提供、知識の普及のためのカンファレンスを2006年から継続して行っている非営利のボランティア団体です。